ビジネスは一点突破の方がスケールする

ビジネスは一点突破の方がスケールする

私は実業で、あの時こうしておけば良かったと思うことの中で、取り返しのつかないことの一つが、広域でクリニックを展開したこと、です。

最初に名古屋、神奈川、札幌、大阪、の順番で出店しました。

大儀として、受診に半年以上待たなくてはいけない、数の少ない児童精神科を全国に広げていきたい、だったので方向性は間違っていないのですが、距離が離れすぎた場所に出すビジネス上のデメリットが多きすぎるというのが今の結論です。

どんなビジネスだったとしても、最初はエリアを絞って、セブンイレブンみたいなドミナント戦略をとるべきだと思います。投資できる資源、人、モノ、金に限りがある以上、ドミナント戦略の方が効率が圧倒的に効率がいいです。エリアが離れていると、まったく連動はできません。無駄がとにかく増えます。

そういう意味では、ビジネス領域もそう簡単に広げるべきではないと思います。

勝っているビジネスモデルがあったとして、そのエリアの市場に余力があるならば、かなり狭いエリアでドミナント展開した方が勝率は高いに決まっているからです。ドラスティックな市場環境の変化がない限り、攻め続けた方がいい、というのが今の私の意見です。

成功している起業家は、結局何か一つにコミットして、１点突破しています。最近はその傾向がさらに強いような気がします。多角化で勝てるほど、現在の環境はどの分野でも甘くない、ということです。

現在私は、医療ビジネスは、児童精神科をコアコンピタンスとして、精神科–美容、の２つを組み合わせています。しかし少し前まで、婦人科という科も連動させようとしていました。結果、上手くいかず、婦人科領域からは完全撤退しました。児童精神科という創業の領域から医学といえども離れている、というのと、私は精神科、美容、しか実際に修行したことはありません。つまり創業者自身がやったことないビジネスをやるのはかなりリスクがあると思います。

選択と集中、ビジネスの基本としてわかっているつもりですが、最近なんか自分の中で拡散していたような気がしました。ビジネスは金を稼ぐのは重要ですが、何のために、どんな価値を提供するためにやるのか、同じくらい重要だと思います。それは自分の有限である時間を使ってやる行為だからです。時間は限られています。誰がやっても同じになるサービスは提供したくないですし、自分たちだからやる意味があるものを提供しなければ、大きく勝つことができないはずです。ビジネスをスケールするためにも、投下するサービスに対する意味づけ、強みが必要であり、それがなければ他者と差別化はできません。そしてチームで勝利するためには、大儀がないよりも、あった方がいい。一丸となって何を目指すのか、何をもたらそうとしているのか、言語化ができていた方がみんなに伝わります。

起業する時は、その前に、そのビジネスで世間に、世界に何をもたらすのか、何のためにそれをするのか、ビジョンみたいなものを明確にできるものをやった方が、色々とやりやすい、と私は思います。

もう金がもうけたいから、もうかるかりそうだから、というシンプルなモチベーションだけで勝てるビジネスってほとんどないと思います。そしてこの人が足りない時代に、金だけだと、人が雇えません。

つまりやるからには全部本気でやれないなら、やるべきではない、ということです。経営者自信がコミットしていないことを、スタッフにやらせようとしてもできない、と私は思います。

「自分らしく生きる」、私は自分が精神科や美容をやる時に、来てくれる方が、自分らしく、いきいきと生きる、ためにはどうしたらいいのか、何ができるのかを、考えて仕事をしています。英語でいうと、well-beingという感じでしょうか。そしてそれは自分が本気で興味ある事、自分がコミットしていること、心からそう思っていること、でないとお客さんには伝わりませんし、価値を提供できません。

とにかく、何に対して自分の時間を投下していくのか、考えないといけないと思っています。

それは医療ビジネスだけでなく、株式会社の方でも同じですね。

飲食業を２つ目のビジネスに選択したのは、単純に実家の家業が飲食業で、自分が４代目だったのですが医師になったのでつげなかった、ことがあったからです。先代からの思いをなんらかの形でつないでいきたいと思ったので、自分で直接やったことがないビジネスですが、今もまだなんとか継続できています。

それ以外のビジネス、カーシェアリング、保育所、をやりきれず、中途半端にエグジットしたのは、気持ちをそこに全振りできなかった、からです。自分がそのビジネスをやる意味が見いだせない、薄いと、すべてを出しきることができず、結果ビジネスとしても勝てない、と思います。

昨日は自分のバーで知人たちと飲んでいましたが、最初の一店舗を出店する予定の方もいて、０から１に進んでいく人を見るのは楽しいなと思います。ビジネスだけじゃないですが、何事もやってみないと、良いも悪いも分からない。いつかやってみたいと思うことは、今すぐやらないなら、きっと一生やりません。あと、じいさんになってから初めてやることは怪我しますし、リカバリーする時間ないです。即断即決、小学校の時に書道で書いたみたいに、自分で書いて壁に貼っておきたいくらい大事な言葉です。

私は今ふりかえっても、やったことは後悔はないですが、やらなかったことに関しては後悔があります。

最近出会う人が少しずつ増えてきました。なんか人生のゲームチェンジが起きてきているような気がしています。同じようにもがいている起業家たちと会うと自分だけが大変なわけではないとあたり前のことに気が付かされます。ビジネスに基本的には自分の時間を全振りしていますが、時間の選択と集中をさらに研ぎ澄ませていこうと思います。