今回は高級車カーシェアリングビジネスをやった結果と感想についてです
株式会社の事業の一つで高級カーシェアリングというのをやりました。 もともとは私がかよっていたBBT大学大学院のビジネススクールで、大前研一先生から教えてもらった、アイドルエコノミーというのがネタもとになっています。 アイドルつまり、idle economy、「idle」は、「使用されていない」「空いている」「遊んでいる」という意味を持ちます。 アイドルエコノミーとは、使用されていない場所・使用されていない時間・使用されていない能力など、”使われていないリソース”を上手く用いて、新しい経済的な価値を生み出そうという概念のこと、です。
具体的なビジネスでは、自宅の軒下を時間貸しするノキッパ、空き部屋を貸すエアビー&ビー、人のあいている時間を使うクラウドワークス、空いている印刷機を使うラクスル、など、現在多くのビジネスが空いている場所、人、モノ、を利用するビジネスが伸びてきています。 という話を、ビジネススクールの学長講義で何度も聞いていたので、なんとなく自分もアイドルエコノミーをやらないといけない、という気持ちになっていました。 もともと車も好きなので、カーシェアリングとかいいかなと思ったのですが、一般的な車のカーシェアリングはすでに大手企業、例えばタイムス24とかが、がつんと参入しており、スキはないなと思いました。 そこで、高級車はどうかと調べたら、高級車のカーシェアリングはあまり普及していなかったので、目をつけました。レンタカーだと、何十万とかなり高額にとられるようなので、もう少しお得な時間貸しをすれば、ニーズがあるのではないかと考えました。 考え付いたらすぐにやりたくなるので、さっそく始めました。
既存企業が提供するカーシェアリングのプラットフォームを利用してスモールスタートしました。借りてと、貸してをアプリ上でマッチング、アプリ上で決済までやれるので、利用料をしはらってでも使った方がいいと思いました。保険もアプリ内で完結しますし、今は鍵の受け渡しもアプリ上で完結します。スマホを使ったリモートキーシステムを利用できます。 少しずつ車を買っていって、最終的には7台をシェアリングに使っていました。BMWi8、アウディR8、シボレーコルベット、シボレーカマロSS、GTR、BMW・M4、ジャガーFタイプ、です。 結構認知してもらって利用してもらっていたのですが、カーシェアリングをはじめてわかったことは、ちょっとした傷や故障があったときに、利用者の方とのやり取りに非常に時間とコストをとられるということでした。エニカの保険は、事故以外には適応されません。つまり自損、走行中のトラブル、などは対象外となります。そうすると、それらのトラブルが起きたときに、常に利用者の方と直接やり取りをしなくてはいけないということになります。 これは結構しんどい作業でした。
2年ほど高級カーシェアリングを運営し、それなりに利益もでていましたが、手間とコストを考えると今の我々がやるには見合っていないと判断し、最近撤退しました。この時期にしたのは、今、中古車の市場価格があがっており、このあたりがピークに近いのではないかと考えたからです。結果、購入時よりも高い値段で、ほとんどの車を処分することができました。車は不動産同様インフレ対策になるなと思いましたが、所有していること自体がリスクになるとも思いました。盗まれたり、とめているときに傷つけられたり、災害に巻き込まれる、勝手に壊れる、など、想定するだけで多くのリスクがあります。そのあたりは不動産よりも、何かある可能性は車の方が高いかなと思い、インフレ中の今が売り時だと考え、このビジネスからはエグジットしました。
このビジネスだけみれば黒字で終わっていますが、スケールさせることはできませんでした。インフレは自分の努力ではないので、たまたまついていた、だけという感じです。実際ジャガーはシェアリング中にエンジンが故障し、補償ももらえず、鉄のかたまりとなり、今の私の駐車場にとまっています。中古のエンジンがでてきたらとりかえて、売りたいところですが、なかなかでてきません。 自分の好きな車を選んで乗れるから楽しそうと最初は思いましたが、実際は商売道具なので何かあったらまずいと思い、びびってほとんど乗れませんでした。あと、普通に仕事が忙しすぎて休みないのと、仕事の移動がほぼ電車なので、私はあまりその恩恵は得られませんでした。ですが、高級車ってこんな感じか、というのは分かったので、ほんとに金持ちになったら、普通に自分の金で個人で買いたいと思っています(笑)
運よくこのビジネスはエグジットしまして、その金を何に投資するか、考えています。ZX COFFEE、ZX BARに通常なら追加投資するのが自然なのでしょうが、コロナの時に私はそれまで勢いのあったビジネスモデルが急死するのをいくつも目の当たりにして、一つのことに突っ込むのはよくないなと思うようになってしまいました。ひよったといえばひよったのかもしれません。なるべく早くスケールさせるためには、一つにすべての人、もの、金をぶち込むべきだと思っています。実際いまデカコーン、ユニコーンと言われている企業体は一点突破してきた企業も多いとは思っています。しかし今は、一点突破する精神力がありません。私が20代なら違ったのかもしれませんが、今42歳ですから、もうそんな元気なくなってしました。 もちろんスケールさせるために株式会社をやっているので常に狙ってはいきますが、金を稼ぐ手段はいくつか分けていた方がいいだろうと思っています。
アメリカもFRBが利上げ、QT、と市場からどしどし金を引きあがていきます。アメリカにつられ、EU、イギリス、オーストラリア、筆頭に、その他の先進国もドルにひっぱられないように、自国通貨に対して利上げ、QTをスタートしています。リセッションもやむなしといった気迫を感じます。 となると、景気はしばらく悪いだろう、と思うのと、現在アメリカなどのインフレはピークに近い(日本はまだこれからインフレがやばいとは思います)ので、不動産、車などの資産を買うのもタイミングが違うかなと思っています。 株も底はもう少し先でしょう。 実業に突っ込むにしても、景気がよくなってきてからの方がいい、と考えています。 となると、私の結論としてはしばらくは守りの時期だと考えています。具体的には多少、株、暗号通貨、TMV、にふりつつ、あとは現金(ドルメイン、困らない程度に円)、という感じで、チャンスにどかっといけるように力をためたいと思っています。
といいつつ、それだと退屈で、多少動かしてしまうとは思いますが。 ここで考えていただきたいのは、アイドルエコノミーは、他にもまだまだ応用可能だということです。
BBTのビジネススクールでの講義内容は、こちらにまとまっていますので、ご興味がある方はぜひ。大前先生、日本でかなり早い段階でアイドルエコノミーに注目していてさすがでした。
大前研一 アイドルエコノミーで稼げ! ―“空き資源”は宝の山
ちなみに私は、医師の空き時間を利用して、ネット上で利用者からの質問に答えるメンタルメインのWEBサイトをビジネススクールの卒業研究で実際にローンチさせました。 その話はまた。
コメント