自我境界、穴があく以外のケース
前回、自我境界に穴があいたら、どうなるか、という話をしました。
今回は、アスペルガー障害のような、広汎性発達障害(PDD)の人の場合、こういう感じじゃないかと私が思っていることを書きます。
他者の心の理解がにがて、これがPDDの中核症状、なくてはならない症状になります。
対人相互性の障害、と言います。
自我境界には一部透明になっている部分があるとします。外から他人の自我を覗き見るための窓、みたいなたな感じだとします。
PDDの方は、自我境界の壁が分厚いイメージがあります。
自分の内側から外をみないといけないので、壁が分厚いと、距離がでて外が見えにくくなる。
その代わり壁は分厚いので、やぶけにくい、といった具合です。
私の個人的な感覚にすぎないので、これは根拠ない話だと思って、聞いてください。
PDDの方にも、統合失調症(S)が合併することはもちろんあります。
しかし、なぜか私が臨床で出会ったPDD+Sの方たちは、自我漏洩症状がでていない、もしくはかなり進行が遅い、状態でした。
もともとSは慢性進行性の疾患です。しかしSの症状の程度も軽く、そして進行もかなり遅い、方ばかりでした。
自我境界の壁が、しっかりしている、そう簡単に突破されない、と感じていました。
もちろん思考、気持ち、感覚、行動、つかさどっているのは脳です。
どの疾患も脳機能上の差異があるから、そのせいだ、と考えることはできると思いますが、精神科医らしくないじゃないですか。
一つの仮説として、かってに提唱させていただいています。
医療法人永朋会
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