お気に入りの毛布、タオルケットを手放せない、について
子どもの時からお気に入りの毛布、タオルケットがあって、それを手放すことができない、旅行でも持っていかないと安心して寝れない、という方、いると思います。
ボロボロになったぬいぐるみ、とかもありますよね。
これって、呼び名がいちおうついています。
移行対象、といいます。
自分の不安な気持ちを移行させる、移動させる、ちょっと預かってもらう、って感じでしょうか。
もともと不安が強い子どもや、生育歴上、不安を感じることが多かった子に、時おり認められます。
大人になっても、それが残ってしまっていたり、しばらく大丈夫だったけど、再度そういう状態になることもあります。
これ自体は、実は別に悪いことではありません。本人たちは、はずかしがっていることありますが、恥ずかしいことではないのです。
自分が弱い、わけでもないです。
自分の中に発生した不安、それに理由があっても、理由がなかったとしても、その不安を自分一人でなんとか対処しようとして発生させている行為だからです。
要は、他人に迷惑かけないように、自分だけで解決できるように努力しているわけです。
感情は、人と人の間を移動する、と思います。あくびが伝わっているのも、その現象の一つ、ともいえます。
例えばイライラしている人と一緒にいると、なんだか落ち着かない、不安になる、という経験あると思います。
不安も、自分で不安を抱えていると具合悪いですから、なんとかしたくなります。一番簡単なのは、その不安を、誰かにぶつけることです。
不安はぶつけられた人の中に入っていく、イメージでいいです。不安を投げ込まれたその人は、ちょっと不安強くなったり、調子悪くなると思います。
不安は、単純に不安という形だけでなく、イライラする、みたいに変換されることもあるので、イライラをぶつけるのも簡単です。
移行対象を使って不安をしのいでいるのは、その不安を他人にはぶつけず、自分でなんとかしようとしている行為なのです。
話はちょっと違いますが、リストカットのような自傷行為も、自分の中に発生した不安定な感情、希死念慮、などを自分だけでなんとかしようとしている行為です。
つまり、他人には迷惑かけないように、なんとかしようと自分で頑張っているわけです。
このあたりは、とらえ違えられると、自分をさらにせめてしまいますから、注意が必要です。
というわけで、お気に入りのタオルケットは戦いの証ですから、大事にしてやってください。
ボロボロになったら、似たような触感のものに取り換えても、同じ効果を発揮するはずですから、さみしがらずに交換してやってください。
医療法人永朋会
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