誰かにはじめて会った時に感じる、ネガティブな感情
特に理由はないのに、初めて会った人に、なんとなく「嫌だな」、「気に入らないな」、と感じることがたまにありませんか?
あきらかに、相手の態度が変、とか、見た目がおかしい、とか、挙動不審、とか、誰がみてもちょっと変だよね、みたいな理由がある場合は置いといてください。
客観的にみて、むしろ感じいいくらいな様子なのに、何か自分の中で「もやっ」とする時のことです。
相手のことを何も知らないのに、ネガティブな考えが浮かんだ自分のことを責めることもあるのではないでしょうか。
私もこういう感覚ってあるよなと、ずっと思っていました。ですが、そういうこともあるよな、くらいにしか思っていませんでした。
精神科医になって勉強して、トレーニング受けて、スーパービジョンなんか受けたりして、とやっているうちに、投影という言葉を知りました。
ややこしい言い方になりますが、自分で気がついていないけれど自分が自分の嫌いなところ、嫌悪している部分があるとして、それを相手の中に見つけた時に、その相手に対してネガティブな感情を持つ、ことがあるということです。
つまり自分が嫌いな自分を、相手の中に見た時に、同族嫌悪みたいな感覚がでるということです。似た者同士にあったときに、発生しているのです。
ということはこういう感覚がでたときは、自分の中に目の前の相手に感じている嫌な要素があり、それを自分は無意識に嫌っているのだな、ということに気が付けるということです。
ある意味チャンスでもあります。無意識を意識化させることができるチャンスはそう多くありません。
自分が、自分のどの部分が嫌いなのか、本能的にそれを避ける傾向に人はあります。ネガティブな感情が強ければ、根が深ければ深いほど、無意識の中に押し込まれてしまうものです。そのことに気がつくと、自分がおもいっきり傷ついたり、凹んだりする可能性がある場合、自己防衛機能、ナルトでいうと我愛羅のオート砂ガードみたいなものが発動するものなのです。
オートガード機能がある、ということを知っておくと、今のはオートガードが発動したな、と気が付くことができる時があります。
人は自分が悪いことをしたり、イケていない行動、発言をしたり、良くないことを思いついたりした時に、自然にそれを肯定するような自分に都合のいい、自己中全開な考えが頭に思いつくようにできています。その方が脳、心、体、が心地いいからです。まさにオートガードです。
しかしそれを甘んじて全部受け入れてしまうと、ほんとの意味で反省できなかったり、あやまれなかったりして、精神的な成長を阻害します。
罪悪感すら、発生しないかもしれません。
罪悪感を感じ、そしてそれに対して何も対応しなければ、罪悪感に持続的に悩まされる、機能は実は悪くないのです。罪悪感を感じていると夢にまででてきます。自分が殺されたり、事故ったりする夢は、罪悪感を夢の中で解消しようとしている、なんというとらえ方もあるくらいです。
これも一つのエピソードですが、自分で自分を知ることは結構難しい。
ですが、他人を写し鏡につかえば、自分の深層心理、心の動きを、やや外側に出してみることができる、ことがあります。
投影、もその一つです。
転移、逆転移、とかもこの類のものです。
心理療法では、このあたりの過去の偉い人たちが見つけてくれた技を使って見えないものを少しでも見えるようにしていきます。
読書も面白いですが、体験には負けてしまいます。
もやっとしていることがある時、それは何かのサインのことありますから、見逃さない方がいい、と私は思っています。
医療法人永朋会
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